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FEC(食とエネルギーとケア)が循環する地域を目指して


 「未来を拓く つなぐつくるプロジェクト」(略称,T.T プロジェクト)は,法や制度の枠の中の活動には限界があるという問題意識が土台にある.福祉制度は本人や家族からの申し出から,支援が始まる.しかし,困っていても,助けてと声のあげられない人,どこにSOSを出してよいのか,途方に暮れる人もいる.  そうした現状に私たちができることはないかと考えたのが,T.Tプロジェクトの始まりだった.このプロジェクトに弾みをつけてくれたのが,「心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」(ファイザープログラム)だった.  ファイザープログラムは同じテーマで3年連続して申請が可能だ.やどかりの里は,「見沼の文化とSDGsを意識した共同創造のソーシャルファームづくり」というテーマで,2020年,2021年と2年間にわたって助成を受け,「未来を拓く つなぐつくるプロジェクト」を進めてきた.  助成申請のために,前年度の取り組みを振り返り,評価し,次年度への構想を練る.書類審査とプレゼンテーションによって助成が決定する.9月27日の選考委員会でのプレゼンテーションを経て,10月6日に助成決定の通知が届いた.COVID-19による緊急事態宣言下の活動は,やどかりの里に影響を与え,運営も厳しさを増している.そんな時の朗報だった.   さて,今年度実施した地域巡回(アウトリーチ活動)「旅するお茶の間」だが,いくつかの拠点で「まちなか保健室」の開設,音楽を届け,ヤギが人と人をつなぐ役割を果たし,キッチンカーでもてなすコーヒーがほっとする時間と空間を醸し出した.地域巡回を重ねる中で,地域の拠点づくり(いつでも立ち寄れる場所)が必要と考えるようになった.  2022年にはその拠点を用意し,ソーシャルファームの土台づくりを進めていきたい. 

 SDGsを意識するとエネルギーのことも意識せざるを得ない.具体的には,神奈川県の藤野電力(地域でエネルギーのことを考える市民グループ)に学び,ミニ太陽光発電や移動屋台を制作するワークショップを開催予定だ.地域巡回も継続し,「まちなか保健室」も看護師・保健師・精神保健福祉士に加え,薬剤師や鍼灸師などの専門職ボランティア(プロボノ)が増えつつあり,地域の中での顔の見える関係づくりをさらに広げていく.  FEC(食とエネルギーとケア)が地域で循環させていくという考え方がある.その考え方を土台にソーシャルファームを構想していく.そのためには拠点づくりがどれだけ前進するかが鍵だ.その拠点では,ヤギとの触れ合い,誰もが気軽に立ち寄れて,さまざまな情報が集まり,飲み物や食事が提供される.地域巡回は「旅するお茶の間」として,地域の人と人をつなぎ,この地域のあり方をともに考える人たちの輪を広げていく.アウトリーチの活動と拠点づくりを合わせて考えていきたい.(記 宗野政美)

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