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ヤギが人・自然・地域をつなぐ

 未来を拓く つなぐ・つくるプロジェクト(以下,プロジェクト)の3年目がスタートした.COVID-19感染拡大による混乱と困惑の1年目.1年目の遅れを取り戻すかの如く,出会いとつながりを求めて地域巡回を重ねた2年目.3年目は地域のつながりを育む拠点づくりを目指している.


 人との出会いの場に大きく貢献しているのは,昨年4月からプロジェクトに仲間入りした2頭のヤギ,喜々(きき)と楽々(らら)である. 

 優しい笑顔のような顔つきが愛らしいヤギ.穏やかでスローな雰囲気が,周囲の心を和ませる.飼い始めた頃は,警戒心が強く,近づくことすら容易ではなかったが,餌をあげたり,体を撫でたりすることで,次第に人にも慣れ,性格もどんどん優しくなってきた.人の気分を察知することができ,微笑んでいる人の方に近寄ってくるなど,コミュニケーション能力も高い.


 ヤギに魅せられているのは,私たちだけではない.喜々と楽々の行く先には多くの人が集まる.街中であまり見ることがないヤギの登場が,会話の糸口となり,コミュニケーションが広がる.「なんでヤギを飼っているんですか」と聞かれることも多く,その言葉をきっかけに,制度の狭間で生活のしづらさや孤独を抱えている人たちの存在を伝え,このプロジェクトの目的が,人と人,自然と人のつながりで,「ひとりぼっちをつくらない」地域をつくろうとしていることを伝え,多くの共感を得つつある.「次はいつ来るの?」ヤギを通して,「出会い」が「つながり」となって,プロジェクトのサポーターが増えていくことを期待している.


 ファイザーの市民活動助成は3年という枠組みの中で実施され,今期で終了となる.今期は助成終了後の4年目以降を見据えた活動づくりとして,地域巡回やさまざまなワークショップを通してつながりを育み,多様な関係が生まれる「場」をつくることが大きな課題となる.


 集う人の笑顔は喜々と楽々からの贈り物だ. 彼らの力を借りて,地域に笑顔があふれる場をたくさん創ることが,「ひとりぼっちをつくらない」社会の実現につながっていることを信じたい. 3年目もヤギとともに一歩一歩進んでいく.  (記 宗野 政美)

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