あなたのまちに保健室が伺います
緑のトラスト保全地1号地での開催
つなぐ・つくるプロジェクトで取り組んできた「地域巡回」.旅する茶の間としてキッチンカーを走らせ,地域の子ども会や自治会との共催,地元企業の駐車場をお借りしての開催など,さまざまなつながりづくりが実現してきました.5月28日には,トラスト1号地(見沼田圃周辺斜面林・さいたま市緑区)という,緑のトラスト保全地での初の開催となりました.
周辺は水路と林が一体となった,昔の面影が残る見沼らしい自然があります.この地の環境保全に取り組む「NPO法人エコエコ」の皆さんともコラボした地域巡回.自然を体感するエコツアーでは,オオタカに出会えるという嬉しいハプニングも.見沼の自然と人とのつながりが体験できる機会となりました.
さらに初の取り組みとなったのが「サロンカーでのまちなか保健室」です.プロジェクトメンバーで建築士の都祭俊一郎さんが購入されたキャンピングカーを「まちなか保健室」に活用してはどうか,そんな提案がきっかけでした.このキャンピングカーのこだわりやポイントを,都祭さんにお聞きしました.
キャンピングカーは多様な可能性のある車
「犬たちが我が家に来てもうすぐ5年.旅先の泊まる場所に制約を受けないで済む手段として,何度かキャンピングカーのレンタルを経ての決断でした.随分大きなものなので日常的に乗り回すことは難しいと考えていましたが,意外と取り回しも良く,外出先の仕事場として,工事現場の待機場所や打ち合わせ室にも活用しています.
キャンピングカーといっても車体の大きさや形状は様々.私の場合,最大4人まで座れる座席,簡易トイレが置けるスペース,旅行中に犬を安全に車内に置いておけるようにするための冷暖房が条件でした.結果,救急車などで使用されている車両と同じようなものになり,高速道路の制限速度域でも安心して走れる車となっています.暖房は車の燃料タンクから軽油を使うボイラータイプ,冷房は車両の発電機や太陽光発電パネルで発電した電気をバッテリーに蓄電した電力を利用するクーラーを取り付けました.
キャンピングカーは,電気も水も排水もすべてオフグリットで賄う必要があります.他県では災害時の利活用について自治体と協定を結ぶ事例も聞かれますが,私の知る限り日常的な健康相談などで活用する前例はないと思います.都心に近く土地の広い埼玉県は,キャンピングカーの製造や販売を行う会社が多いという土地柄も,今回の活動のきっかけになったかもしれません」
「あなたのまちの保健室」を目指して
地域巡回で初となるサロンカーでのまちなか保健室.ヤギの鳴き声や子どもたちのにぎやかな声を聞きながらも,サロンカーがプライベート空間となって,健康のことや悩み事などを落ち着いて話せる保健室となりました.
散歩途中の方が「血圧が心配で」と立ち寄られたり,サロンカー見たさに来られた方も,気づけば健康相談に……まずは血圧測定や体組成計で筋肉量・骨量など身体の状況を知ることから始まり,気になっていること,話したいことなど,何でも聞かせてもらうのがまちなか保健室の特徴です.「サロンカーに入るのはちょっと」と気が引けた方は,サロンカー前に用意したアウトドアチェアに座って,飲んでいる薬が不安だという声に,薬剤師が対応しました.調剤薬局では聞けないことも,自然の中では遠慮なく聞くことができたようです.そこは相談所というよりも,キャンプ中の仲間の集まりといった光景でした.
竹林と川に挟まれた自然豊かな場所での保健室が実現したことで,サロンカーはまさに「どこでも保健室」になる,そんな可能性を感じました.これからもキャンピングカーの活用にご協力をいただきながら,走る保健室,どこでも保健室,地域の保健室等……まちなか保健室は,ご希望があれば皆さんの地域にお伺いしたいと思います. (記 大澤 美紀/都祭俊一郎)
*プロジェクトの活動に参加いただける仲間を募集中.まちなか保健室のサポートメンバーも募集しています.
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